新会社法対応!中小企業経営者のための法律相談Q&A【ブログ版】
新会社法に強い司法書士大山雄次郎が、会社経営者、起業家、企業の法務担当者・総務担当者から戴いた無料メール相談に、Q&A形式で回答しております。

取締役の競業取引と事業譲渡と株主総会での委任状の勧誘

Q.IT開発会社を共同経営しております。
 ところで、共同経営者の一人Aが、当社と事業内容が競合する別会社を作り、しかも当社の優良資産を別会社へ移転しようとしていることが発覚致しました。
 そこで、これを阻止するために、当社の他の株主であるBとCから委任状を獲得、あるいは株を買い取ることを考えております。
 なお、BとCは当社の半数以上の株式を所有しておりますが、すでに当社を退職しております。
 そこで、お尋ねしたいことは、
1.委任状獲得はAに事前に通知することなしに行えるか。
2.株の買い取りはAに事前に通知することなしに行えるか。
ということです。
(東京都・株式会社経営・男性・40歳代)

A.まず、Aさんが御社の取締役であれば、Aさんが御社と事業内容が同一の別会社を設立することは、「競業取引」にあたり、御社の株主総会の普通決議(議決権の過半数)での承認を要します。
 そして、承認を欠いたままAさんが設立に至った場合、御社は、Aさんがそれによって得た利益と同額を損害額として、損害賠償請求することができます。
 次に、御社が事業の重要な一部を他の会社に事業譲渡する場合、御社は原則として、株主総会の特別決議(議決権の3分の2以上)での承認を要します。
 そして、Aさんが承認を得ないで事業譲渡した場合、御社はAさんに対して無効主張をし、譲渡された資産の返還を請求できるだけでなく、その行為によって御社に損害が生じた場合、Aさんに対して損害賠償請求をすることができます。
 さらに、Aさんには、「業務上横領」といった刑法上の罪に問われることになると考えられます。
 そこで、株主総会での競業取引及び事業譲渡の承認決議を否決するため、つまり「可決させない」ためには、議決権の「3分の1超」、できれば「半数以上」を保有している必要があります。
 まず、御社または御社の株主の一人であるあなたが、BさんとCさんに対して、議決権の代理行使のための委任状を勧誘する場合、当事者ではないAさんに対して事前に通知する必要はありません。
 次に、株主の一人であるあなたが、BさんとCさんから株式を譲り受ける場合、御社の定款に株式の譲渡制限規定として、「当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。」とあれば、株主総会の承認決議を要します。
 そして、Aさんも株主であれば、当然Aさんに対しても招集通知をしなければなりませんので、Aさんに対して事前に通知を要することになります。
 しかし、株主総会決議においては、特別利害関係人も議決権を行使することができますので、あなた、Bさん、Cさんの議決権の合計が過半数あれば、あなたはBさんとCさんから株式を譲り受けることができます。
 ただし、続けて競業取引及び事業譲渡の承認決議をするのではなく、改めて議決権行使のための基準日を定めて、あなたがBさんとCさんから譲り受けた議決権を行使できる状態にした後に、再度、競業取引及び事業譲渡の承認決議のための株主総会を開催しなければいけません。
 よって、競業取引及び事業譲渡の承認決議前に、Aさんに知られることなく、あなたの議決権割合を増加させるためには、委任状の勧誘による方法が宜しいと考えます。

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  1. 2009/06/17(水) 05:19:52|
  2. 株主総会

合併における代表取締役の選定時期

Q.合併による新会社設立事務局を担当しております。
 新会社社長などを選定するいわゆる総会後の取締役会の開催日ですが、効力発生日の約1ヶ月前に開く合併承認総会の直後に開いてもいいのでしょうか?
 それとも効力発生日以降でしょうか?
(宮崎県・会社員・男性・60歳代)

A.合併における代表取締役の選定時期及び選定方法を考える場合、新設合併か吸収合併か、また取締役会があるかないかの4つのパターンでそれぞれ対応が異なります。

(1)新設合併で取締役会を設置する場合
 新設合併の効力発生日は登記申請日で、その日までに代表取締役を選定しておかなければなりませんが、効力発生前に取締役会はありません。
 よって、設立時取締役の互選によって設立時代表取締役を選定します。
 そして、取締役会議事録の替わりに「設立時代表取締役選定決議書」を作成します。
 つまり御社の場合、合併承認総会後、設立時取締役が就任した時点で、設立時取締役の互選によって選定すれば宜しいと考えます。

(2)新設合併で取締役会を設置しない場合
 新設合併の効力発生日は登記申請日で、その日までに代表取締役を選定しておかなければなりません。
 そして実務では、株主総会で承認される新会社の「定款の附則」に定める方法がよく採られています。

(3)吸収合併で取締役会がある場合
 吸収合併の効力発生日は新設合併と異なり、会社が定めた日いわゆる合併期日です。
 よって、合併期日に取締役会を開催するか、それ以前に取締役会を開催して吸収合併の効力発生を条件に新代表取締役を選定します。
 尚、吸収合併の効力発生前に代表取締役を選定する場合は決議時と効力発生時の取締役のメンバーが同一であり、かつ決議時に就任している取締役の中から選定しなければなりません。
 これは、決議後に取締役に就任した者の選定権限を奪うことになり、また取締役でない者を代表取締役に選定することになってしまうからです。

(4)吸収合併で取締役会がない場合
 吸収合併の効力発生日は新設合併と異なり、会社が定めた日いわゆる合併期日です。
 よって、合併期日かそれ以前に、株主総会や取締役の互選などの定款に定めた方法により代表取締役を選定します。
 尚、吸収合併の効力発生前に代表取締役を選定する場合は決議時と効力発生時の取締役のメンバーが同一であり(取締役の互選による場合)、かつ決議時に就任している取締役の中から選定しなければなりません。
 これは、決議後に取締役に就任した者の選定権限を奪うことになり(取締役の互選による場合)、また取締役でない者を代表取締役に選定することになってしまうからです。
 さらに承継会社において、株主総会で代表取締役を選定する場合、この決議は合併契約承認決議の中には含まれませんので、別議案で代表取締役の選定決議を行わなければなりません。

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  1. 2009/06/10(水) 13:24:54|
  2. 合併

株式の譲渡制限規定と承認機関

Q.株式会社を経営しております。
 当社は設立当初、社長である私と友人数名が出資して設立致しました。
 しかし最近になって、その友人の一人が株式を他人に譲りたいと言い出しました。
 その譲り受ける者がおかしな人間でなければ問題はないのですが、何とか私の許可を得られなければ、その譲渡を無効にすることはできないものでしょうか。
(東京都・会社社長・男性・40歳代)

A.御社が上場会社でなければ、御社の定款や会社の登記簿謄本には、「株式の譲渡制限規定」というものがあるはずです。
 これは、「株主が株式を譲渡した場合、承認機関の承認を得られなければ、その譲渡を会社に対しては無効とする。」という規定です。
 そして承認機関は、合議体である株主総会や取締役会だけでなく、代表取締役、監査役、執行役とすることもできます。
 よって、社長である「代表取締役の承認を要する。」と定めることもできます。

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  1. 2009/06/03(水) 12:07:08|
  2. 株式

資本減少と決算公告

Q.当社では、昨年度の期中に、資本金を5億円から3億円に減少致しました。
 そして現在、定時株主総会も無事終了し、決算公告の手続を行うところであります。
 そこでお尋ねしたいのは、今回からの決算公告は、貸借対照表の掲載のみで宜しいのか、ということです。
 それとも、まだ大会社として、貸借対照表と損益計算書の両方の掲載が必要なのでしょうか。
 確かに当社は、もはや大会社ではないのですが、決算処理については大会社として手続を進めて参りましたので、それに付随する決算公告も大会社として掲載しなければならないのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
(東京都・総務担当・女性・30歳代)

A.大会社とは、定時株主総会に報告された貸借対照表の資本金が5億円以上か、または負債の額が200億円以上の株式会社をいいます。
 そして、大会社が決算公告をする場合、貸借対照表のみならず損益計算書の要旨も掲載しなければなりません。
 ところで御社は、今期の定時株主総会で計算書類が承認された時点で、大会社ではなくなっております。そして決算公告は、「定時株主総会終結後」に行わなければなりませんので、御社は大会社ではない以上、御社の決算公告には貸借対照表のみの記載で宜しいと考えます。

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  1. 2009/05/27(水) 11:18:34|
  2. 決算公告

見せ金と出資金の融資

Q.会社役員をしております。
 当社では、近く増資を計画しております。
 しかし、その出資方法にやや疑問がありますので、お尋ねしたいところであります。
 まず取締役である私が出資をするのですが、増資をした後、当社が私に出資金相当額を貸し付けることによって出資金を私に戻したいと考えております。
 これは所謂、「見せ金」に該当するようにも思えるのですが、いかがでしょうか。
(東京都・会社役員・男性・50歳代)

A.「見せ金」による増資とは、取締役が第三者から資金を借り入れ、取締役が株式引受人として株式の払込をし、増資の効力が発生した後に、会社の口座から出資金を引き出して、その第三者に返済するというものです。
 つまり「見せ金」かどうかは、出資を受けて本来会社のものとなったお金を取締役個人の借り入れの返済に充てているか、という所にあると考えます。
 しかし御社の場合、増資手続が完了した後、出資金を株主に返済するのではなく、貸し付けることによって、会社のお金として運用されているのですから、厳密には「見せ金」にはあたらないと考えます。
 しかし、「見せ金」も御社の増資方法も、会社が適切に出資を受け、かつ適切に出資金が運用されているという実態が存在しないことは共通しますので、止めておいたほうが宜しいと考えます。

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  1. 2009/05/20(水) 11:15:39|
  2. 増資・減資
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